ベンダー選定のプロセスを徹底解説〜必要性と注意すべきポイントも〜
「ベンダーの選定に関わることになったが何をすれば良いのか分からない」
「そもそも、見積もりをとって比較すれば良いのではないか」
このように思われる方もいるかもしれません。
ベンダーのサービスを比較すれば選定なんてすぐに終わると思う方もいるでしょう。しかし、ベンダー選定は、発注の前段階として非常に重要な工程です。
この記事では、ベンダー選定のプロセスと注意すべきポイントなどを解説しています。自社と伴走してくれる最適なパートナーを探したい担当者の方は、ぜひ最後までご覧ください。
ベンダー選定とは?
そもそもベンダーとは、販売会社や売り手を指します。特にIT分野では、自社でシステムやソフトを内製せず、外部の企業に依頼することも多いのではないでしょうか。そんな時の発注先を概ねベンダーと呼びます。
このベンダーに発注するだけなら難しくはありません。その前段階のベンダーの選定が、意外に難しいのです。数多あるベンダーから、自社に最適なところ・サービスを選ぶには、その時々の感覚に左右されていてはいけません。明確な根拠のない安易な決め方で発注してしまうと、その後トラブルが生じる可能性すらあります。
そのため、ベンダーから提案を受けたうえで、基準に則り評価する必要があります。ここからはベンダー選定における重要なプロセスを解説していきます。
ベンダー選定のプロセス
ベンダー選定におけるプロセスは以下のように3つに大別されます。
- 事前調査
- 選定の準備
- 評価と選定
以下で1つずつ詳しく解説していきます。
①事前調査
ベンダー選定の事前調査の段階では、ベンダー候補を調査したうえで、RFIを作成して送付します。
ベンダー候補を調査する
まずは、自社のプロジェクトに関連するサービスや製品を提供しているベンダーを調査して候補として絞り込みます。ベンダー候補を調査する方法はいくつかありますが、一般的なものは以下の通りです。
- インターネットで検索する
- 業界団体や専門誌などの情報源を参照する
- 他社や知人などの紹介や口コミを聞く
- 展示会やセミナーなどに参加して直接話を聞く
こういった方法で、ベンダー候補の基本情報や提供するサービスや製品の概要を把握します。また、自社の要件と合致するかどうかを大まかに判断しておきたいものです。
この段階でのベンダー数は多すぎず少なすぎないことが望ましいため、10社程度が良いでしょう。
RFIを作成し送付する
次に、RFI(情報提供依頼書:Request for Information)を作成し送付します。RFIとは、ベンダーのサービスや製品に関する情報を求めるものです。また、自社の情報やRFIの目的なども記載して、ベンダーから趣旨に沿った回答をもらえるようにしましょう。
「RFIは必要ない」と省略する場合もあるかもしれません。しかし、調査した多数のベンダーをスクリーニングできるメリットもあります。少し手間はかかりますが、これ以降のプロセスを円滑に進められるようにぜひ活用しましょう。
RFIについては、こちらの記事でさらに解説しています。
②選定の準備
選定の準備の段階では、RFPを作成・提出して評価項目を決めていきます。
RFPを作成し提出する
RFIの結果を確認して、自社の目的に合わないベンダーは除外し、残りのベンダーにRFPを提出します。
RFP(提案依頼書:Request for Proposal)とは、自社のプロジェクトに必要なサービスや製品を提案してもらうために発注側が作成するものです。内容としては、依頼したい範囲・機能要件などを含めます。
ベンダー選定においてRFPの作成は必須ではありません。作成に手間はかかりますが、以下のように活用するメリットがいくつかあります。
- 自社のニーズや課題を正確に伝えられる
- ベンダーからの具体的な解決策を提示してもらえる
- ベンダーの比較がしやすくなる
イメージとしてはRFIで一次選考をしてRFPで二次選考をするようなものです。ベンダーにRFPを提出してより良い提案を引き出しましょう。
RFPの書き方に関しては、こちらの記事で解説しています。
評価項目を決める
ベンダーから提案を受け取ったら、次はそれらを評価する必要があります。評価項目を決めなければ選定基準が曖昧となるため、事前に評価項目を決めておきましょう。
また、評価項目は、ベンダーの提案を比較するための基準となります。そのため、自社がプロジェクトで重視するポイントに応じて設定しましょう。例えば、提案の内容・コスト・納期などが一例として挙げられます。
評価項目を決めたら、あわせて配点も考えておきます。評価項目の優先順位を明確にするためにも、こちらも自社の重視する点などに沿って決めると良いでしょう。
③評価と選定
最後に、ベンダーの提案を確認し、評価と選定を行います。それぞれのプロセスで行うべきことを紹介します。
提案を確認する
ベンダーからのRFPの回答を受け、具体的な提案を確認していきましょう。以下に確認すべき内容の一例を紹介します。
- 自社の要件や課題に沿っているか?
- コストや納期などはクリアしているか?
- ベンダーの実績や信頼性は十分か?
必要に応じてプレゼンテーションを行ってもらい、質疑応答などで不安・疑問点を解消してから評価を行うことが重要です。また、ベンダーの回答や対応は、コミュニケーション能力や協力性を判断する指標にもなります。疑問を投げかけるなど積極的に関わりましょう。
この段階でベンダーを数社に絞り込むことをおすすめします。
評価と選定をする
最後に事前に決めておいた基準と照らし合わせて評価します。点数が近い場合は優先順位を考慮して決めると、より自社にマッチしたベンダー選定ができるでしょう。それでも1社に絞るのが難しければ追加で情報を求める必要があります。
いずれにせよ、選定結果をベンダーに伝えられるよう、ロジカルな判断が求められます。
ベンダー選定基準
ベンダーの選定基準はどうやって決めたら良いのでしょうか?以下にその流れの一例を紹介します。
- 評価項目を決める:提案内容・コスト・経験・信頼性・対応力など
- 配点を決める:項目に優先度をつける
- 評価の基準を定める:4段階評価のように偶数がおすすめ
- 提案を点数化する:客観的に一貫性を持つ
- 集計して比較する
選定基準や決め方については、こちらの記事で詳細を解説しています。
ベンダー選定時の注意すべきポイント
ここからは、ベンダー選定時に注意すべきポイントを解説します。
発注する気がないのに提案を依頼しない
発注するにあたって、多くのベンダーから提案を受けたいと思うかもしれません。
しかし「とりあえず見積もりだけとっておこう」などと、発注する気がないのに提案を依頼するのはやめましょう。これはベンダーの時間とコストを奪う行為です。また、自社にとってもかかる時間と手間が増えるのでデメリットとも言えます。
発注先とならなかったベンダーにも丁重に連絡をする
選定から外れたベンダーは、今回発注先とならなくても、今後お付き合いする可能性があります。そのため、良好な関係を築きたいものです。メールなどでお断りの連絡をすることになるかと思いますが、言葉を選んで選定結果を伝えましょう。
まとめ|プロセスを把握して、円滑にベンダー選定を進めよう
ベンダーに発注する前段階の選定は、そのプロセスに手間がかかり面倒と思う方も多いでしょう。
しかし、順を追って選定を進めることで、ベンダー数の絞り込みを最適に行え、ベンダーからより良い提案を引き出すこともできます。
RFIやRFPも適宜活用しながら、より自社のプロジェクトにマッチしたベンダーを選定しましょう。
クリーヴァでは、SucSak(サクサク)という月額制でシステム開発のレンタルサービスを行っております。CTOレベルの技術者が専門的な相談にも応じることが可能です。ベンダー選定でお困りのことがありましたら、下記のURLより弊社サービスをご覧いただき、お問い合わせください。