システム開発費用の相場や内訳・妥当性を徹底解説~開発のパターン別に費用を説明~
システム開発を外注する際、費用はどのくらいが相場なのか気になるかと思います。
見積もりを安く抑えて、失敗しない会社選びをするためには、いくつかポイントがあります。
この記事では、システム開発費用の相場や内訳・妥当性について解説しました。最後までご覧ください。
システム開発の種類にはどのようなものがあるか?
- Web系システム
- 汎用系(基幹)システム
- オープン系システム
- 組み込み系システム
- アプリ系システム
Web系システム
インターネット上で情報処理するシステムで、不特定多数のユーザーを対象としたものが多いのが特徴です。
私たちが身近に使っているECサイト、予約サイト、口コミサイトなどがこれに当たります。
汎用系(基幹)システム
汎用機(大型コンピュータ)のような特定の環境下で稼働するもので、多くは大規模システムと呼ばれるものです。会社の基盤となりうるものが多く、さまざまな情報管理を担っています。
大企業の販売・生産管理や、金融機関の情報管理、物流・製造業・メーカー向けの製品管理などに使われています。
オープン系システム
汎用系とは逆に一般的なパソコンでのシステム開発が可能で、業務効率化に寄与するもの、直接顧客に関わる業務を効率化するものが多いと言えます。
企業の在庫管理・顧客管理・給与管理などによく使用されています。
組み込み系システム
家電や機械などその製品の中に組み込まれるシステムです。Web系に比べて難易度が高いと言われ、失敗すると多大な損害が生じることも特徴です。
家電製品・通信機器・業務用機器などに使われています。
アプリ系システム
主にiOS/Androidで動作するスマホ向けアプリのシステムです。Web系のように不特定多数が使用するタイプだけでなく社内等のクローズドな場所で活用するタイプがあります。
種類別の料金・費用の相場
システムの種類別の料金・費用の相場は以下の通りです。同じシステムでも幅が大きいことがわかります。
Web系システム | 費用相場 | 備考 |
---|---|---|
マッチングサイト | 100万〜500万 | 検索機能や決済機能、メッセージ機能やメルマガ機能をゼロから開発すると費用は高くなります。 |
予約管理サイト | 80万〜500万 | 決済機能・複数店舗機能・勤怠機能と連動した予約機能、メルマガ機能などをゼロから開発すると、費用が高くなります。 |
ECサイト | 60万〜400万 | 搭載機能だけでなく、サイトの規模が大きくなればなるほど費用が高くなります。 |
クチコミサイト | 40万〜300万 | 会員登録〜クチコミ投稿だけの簡易的なサイトなら、40万円程度でも開発が可能ですが、閲覧数制限やインセンティブ機能を加えると費用が高くなります。 |
Q&Aサイト | 60万〜300万 | インセンティブ機能や絞り込み検索、サジェストによる検索支援などをゼロから開発すると費用が高くなります。 |
SNSサイト | 100万〜500万 | フォロー機能や決済機能をゼロから開発すると費用が高くなります。 |
CMS | 80万〜400万 | オープンソースで開発するかゼロから開発するかで費用相場が大きく変わります。 |
掲示板 | 50万〜300万 | 簡単なものなら50万から開発できますが、検索機能や決済機能、会員機能や位置情報管理機能をゼロから開発する場合、費用が高くなります。 |
業務システムの種類 | 平均発注予算額 |
---|---|
顧客管理系 | 972万円 |
総合管理系 | 675万円 |
販売管理系 | 847万円 |
営業管理系 | 942万円 |
生産管理系 | 1,377万円 |
物流管理系 | 1,671万円 |
情報サービス系 | 232万円 |
受発注管理系 | 1,322万円 |
グループウェア | 466万円 |
総務関連 | 625万円 |
画像処理 | 1,000万円 |
アプリ系システム | 費用相場 |
---|---|
ショッピングカート系アプリ | 50万〜300万 |
カタログ・フリーペーパー系アプリ | 50万〜100万 |
通話・メッセージ系アプリ | 100万〜500万 |
ゲーム系アプリ | 200万〜1,000万 |
費用・相場変動の理由
システム開発の費用が変動する理由としては、同じシステムでも目的や工程により差が大きくなるためです。大まかな開発方法は以下の3通りです。
開発方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
パッケージの導入 | 費用を抑えられ、導入も早い。 | 運用保守はしない。 |
パッケージ+カスタマイズ | パッケージに希望の機能などを付加できる。 | パッケージより費用がかさむ。 |
スクラッチ開発 | 完全オリジナルなので、複雑なものも特殊な機能にも対応可能。 | 費用が高額。導入までの時間もかかる。 |
相場の妥当性をどのように評価するか
システム開発の相場は金額だけをみても過不足ないか分かりにくいかと思います。妥当性を評価するために、以下のポイントを目安にすることをおすすめします。見積もりの費用と、システムの導入によるコスト削減を秤にかけて判断すると良いでしょう。
- 初期費用
- 開発範囲
- 開発期間
- リスク
- 運用保守費用
初期費用
開発の工程で修正が加わることはよくあります。その際に費用が発生するのか確認しておきましょう。
開発範囲
開発範囲を基に人件費が変わります。必要な機能と作業範囲に乖離がないか確認しておきましょう。
開発期間
開発期間が明示されているか確認しましょう。期間が長くなるほど、費用はかさみます。
リスク
開発の工程で修正が加わることはよくあります。その際に費用が発生するのか確認しておきましょう。
運用保守費用
システムは開発して終わりではありません。システムを継続して使用するためには運用・保守の作業は必要不可欠です。
システム開発費用が決まる仕組み
システム開発の費用は大部分が人件費です。費用の内訳を解説します。
システム開発費用の内訳とは
開発費用の内訳は以下の通りです。
システム開発費用=人件費(開発費)+諸経費
- 人件費:エンジニアやプログラマーなどを雇う費用
- 諸経費:開発に必要なPCや機材などの設備費、ソフト使用ライセンス料、サーバー代、オフィスの賃料など
人件費の計算方法
人件費の計算方法は以下の通りです。
人件費=人月×人月単価×開発期間
- 人月(にんげつ):1ヶ月間あたりのエンジニアなどの人員
- 人月単価:人員1人が1ヶ月作業した場合の費用
- 開発期間:開発・リリースまでの期間
見積書などに「4人月」と記載されていたら、1ヶ月に4人のスタッフが必要となります。
FP法について
FP法はファンクション・ポイント法の略で、開発時に実装する機能ごとに点数(FP)をつけて、その合計で開発規模の見積もりを出す方法です。
「Aの機能は比較的簡単なので5点、Bの機能は難易度が高いので10点」というように点数をつけ費用の算出をします。
システム開発の主な作業工程・内訳
システム開発の主な作業工程は5つです。各作業工程の解説をします。
- 要件定義
- 設計
- プログラミング
- テスト
- リリース・保守
要件定義
要件定義とは、システム全体のベクトルを決めることです。依頼者と開発会社で、機能・仕様・運用方法までの全体像を打ち合わせし、「この機能がいる・いらない」といった具体例や業務上の問題点などをすり合わせします。
次の設計以降の工程を左右します。
設計
設計には、外部設計と内部設計があります。
外部設計は見た目やユーザー目線からの仕様を指し、実際の使い勝手に影響します。
内部設計は、外部設計とは逆に開発者から見てシステムが円滑に動作するためにシステム構想を作り上げることを指します。実装した際、正常に作動するかに影響します。
プログラミング
プログラミングは、設計したシステムを実際に作る段階を指します。設計書を元にプログラマーがコードを書きソフトを作りあげるので、一番肝心な工程といえるでしょう。
テスト
開発におけるテストとは、動作に不具合がないか、要件定義に即しているか確認する作業です。
4段階に別れており、プログラム構成単位ごとの正常動作を確認する「単体テスト」、問題なければ単位を組み合わせ実際の動作に近い「結合テスト」、システム最終段階でユーザーが使用する前段階の「統合テスト」テスト、ユーザーに作動してもらう「運用テスト」を行う。
運用保守
テストをクリアできたらリリースとなり、開発者は運用保守の段階に入ります。
運用とは、システムを継続的に安定して稼働させるため管理監視をすることで、保守は障害時に原因究明して復旧させることを指します。
運用保守とは、リリースされたシステムが安定稼働し続けられるよう、サーバやネットワークといったITインフラを管理・監視することです。
システムは24時間365日稼働し続けるものも多く、故障や不具合などシステム障害が発生した場合には迅速に修理・復旧を行う必要があります。
障害が起きた際に迅速に復旧させるために、システムを常にモニタリングしたり障害を未然に防ぐよう日々メンテナンスを行う必要があります。
システム開発費用を安く抑えるポイント
システムの開発費用は、搭載したい機能が多く複雑になるほど必然的に高くなり、数千万円以上となることもあります。
費用を抑えるためには、いくつかポイントがあるので押さえておきましょう。
- 欲しい機能は明確に
- パッケージを利用する
- 使用年数を考慮する
- 補助金の申請を検討する
- 範囲を絞って開発する
欲しい機能は明確にする
開発にあたり欲しい機能やシステムによって解決したい問題を明確にしておきましょう。欲しい機能と同時に不要な機能も決めておくとベターです。
要件定義の際に数値で表せるくらい具体的に決めることが重要で、後の工程で追加となると修正のたびに費用がかさんでしまいます。
パッケージを利用する
パッケージを利用し、導入するだけであれば、費用はかなり抑えられます。欲しい機能を明確にした上で問題なければパッケージを選択するか、最低限のカスタマイズを追加する程度にすれば、スクラッチ開発と比較して大幅な費用削減につながります。
使用年数を想定する
開発後どの程度の期間運用するかも考えておきましょう。
運用費は開発費の5%程度が目安と言われており、開発自体が目的ではなく運用保守まで考慮が必要です。
期間に応じて、必要な機能や見合った機能もあり、開発費用の回収の面からも使用年数の想定は行いましょう。
補助金の申請を検討する
システム開発の補助金を利用して費用を抑える選択肢もあります。ただし、採択率は約50%と低く、申請が複雑なこともあり利用していない人も多いのが現状です。
補助金制度はいくつかありますが、例として「ものづくり補助金」は採択されれば100万円〜1,000万円もの補助金が得られます。また自治体によっては独自の補助金制度もあるので、条件が合うものを探してみるのも良いでしょう。
範囲を絞って開発する
初めから全機能をシステム化するのではなく、まずは最小のものに絞って開発する方法もあります。
小さく始めて、使いながら優先順位や課題を踏まえて運用でカバーすると、費用が抑えられる場合もあります。
開発会社の失敗しない選び方~提案の妥当性を見抜く方法~
開発までの流れや費用が分かれば、あとは開発会社選びです。失敗しないための選び方のポイントをまとめました。
- 相見積もりを必ずとる
- 開発実績が複数ある
- 著作権の委譲ができるか
相見積もりを必ずとる
開発会社を選ぶ際は、必ず相見積もりをとりましょう。費用面で比較した時、安すぎるケースは運用保守のことが考慮されていない可能性があり、避けるのが無難です。
特に運用保守がその会社にしかできないと、長期的なコストが高くなる場合があり、注意が必要です。
開発実績が複数ある
開発実績が複数あり、類似のシステムを開発している会社が望ましいでしょう。機能の要不要の判断がしやすく、提案もしてもらいやすくなります。可能な範囲で、選ぶ際の選択肢に入れてみましょう。
著作権の委譲ができるか
納品時にソースコードの著作権を委譲してくれるかどうかも重要です。
委譲されなければ、運用後に変更などがあった時に依頼者側が不便になります。導入時のまま変えることはないと確定しているなら良いのですが、長期的に運用していくのであれば委譲可能な会社を選びましょう。
まとめ
この記事では、システム費用の費用の相場や内訳・妥当性について解説しました。
- システム開発はサービスや環境により種類が分けられる
- システム開発の費用は開発方法により変動が大きい
- 費用の内訳は人件費がほとんど
- 開発作業をふまえれば、安く抑えるポイントがある
- 会社選びに失敗しないための注意点がある
上記の内容をもとに、システム開発を外注すると、少しでも安くよりニーズに合ったものを作ることができるでしょう。
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