リーンスタートアップとMVP開発の関連性は?ビジネスにおける活用方法を解説
新規事業と関連してよく耳にするマネジメント手法、リーンスタートアップ。
MVP開発とも関連が強く、事業の分野によっては非常に有用となるものです。
そこで、この記事ではリーンスタートアップの概要とMVP開発との関連性、近年時代遅れとも呼ばれる理由を解説します。ぜひ最後までご覧ください。
リーンスタートアップとは
リーンスタートアップとは、出来るだけ少ない費用かつ短期間で最低限の製品(サービス)を作り、顧客の反応を見て改善を繰り返し、ニーズを満たした製品を開発するマネジメント手法です。
2008年にアメリカの企業家エリック・リース氏が提唱したもので、2011年の書籍「The Lean Startup」はアメリカでベストセラーにもなりました。
その無駄を削ぎ落としたビジネスモデルから、様々なビジネス、特に新規事業でリーンスタートアップは採用されています。まずは、その手法を理解していきましょう。
リーンスタートアップの4つのサイクル
リーンスタートアップは、以下の4つのサイクルによって構成されています。
- 仮説・構築
- 計測
- 学習
- 再構築
仮説・構築
まずは、顧客のニーズの仮説を立てます。
最初のアイデアをもとに新しい製品を作りますが、ここで重要なのは「完璧でなくて良いから形にすること」です。
大雑把でも良いから仮説を立て、設定したニーズに合わせたものをMVPで作成していきます。
計測
作成したMVPを提供し、顧客の反応を見ます。この時、少人数のアーリーアダプターとされる人々に提供することが重要です。
反応をみる対象は誰でも良いわけではありません。流行に敏感であり自発的に情報収集できる人々だからこそ、その反応が以降の過程に役立つのです。
学習
計測における反応を元に、仮説に誤りがあれば見直して方向性の転換を図ります。アーリーアダプターだけでなく一般の顧客のニーズにマッチする製品にするべく、反応が悪ければ原因を追求しなければなりません。製品の改善にあたっては、マネジメント手法・キャンペーン方法なども含めて、様々な方法を模索する必要があります。
再構築
顧客にとっての最上の価値を見極められるまで、反応を確認しながら「仮説・構築」から「学習」までのサイクルを繰り返しますが、それでも上手く行かない場合は「再構築」として大幅な変更を行います。
再構築となると、大きく後退するかのように感じるかもしれませんが、それまでに得た情報を活かせるため、最初の仮説・構築よりは大きく前進したものを作成できるでしょう。
リーンスタートアップのメリット
リーンスタートアップは、無駄を削ぎ落としたビジネスモデルであり、メリットも多くあります。
コストや時間を最小限にできる
コストや時間を最小限に抑えられるのは、リーンスタートアップの一番のメリットではないでしょうか。
最初から大きな計画に合わせてビジネスを始めると、コストや要する時間が莫大になる場合も多くあるでしょう。まずは、仮説を立て学習を繰り返すことで、不要なものにコストや時間をかけなくても済むはずです。
新しいビジネスの開発が容易
新しいビジネスを始める際に、はじめから理想の完成形を目指して準備することは容易ではありません。
しかし、リーンスタートアップであれば、最初のアイデアをもとにサービスの提供を開始し、計測と学習を繰り返して改善していけば良いため、新たなビジネスへの障壁が低くなります。
いち早く顧客の声を拾える
早い段階で市場に出すため、いち早く顧客からの反応を得られる点もメリットです。また、それにより市場で優位に立てる可能性も高まります。
リーンスタートアップのデメリット
メリットが多いリーンスタートアップにも、デメリットがあります。
主なデメリットとしては、サイクルの経過とともに、目的がずれる可能性があることです。
計測の過程で顧客の声を聞き過ぎるがゆえに、仮説当初のイメージと異なるものになり、その結果長期的に見て成功とは言い難いものができる場合があります。
リーンスタートアップでMVP開発を活用するメリット
リーンスタートアップは、可能な限り無駄を省いたマネジメント手法です。最低限の機能の試作品を繰り返し提供・改善することで、ユーザーにとって価値のある製品を開発していくため「最小限の製品を作る」MVP開発は欠かせないといえるでしょう。
MVP開発を活用することで、開発コストやかかる時間の削減、リスクの最小化、早い収益化が期待できるなどのメリットもあります。
MVP開発の概要
MVPとは「Minimum Viable Product」の略であり、MVP開発は必要最小限の機能を持ったプロダクトの開発を指します。
開発プロセスが特徴的であり、従来の手法では開発を終えてからのリリースが一般的ですが、MVP開発では顧客に提供できる最小限のものをまず市場に出しフィードバックを受け改善するという違いがあります。
MVPキャンバスを活用し、市場の反応を受け、それを製品に反映していくプロセスを経るため、製品というよりは手段として捉えると分かりやすいかもしれません。
コストを削減でき、短期間で開発できるメリットがある一方で、繰り返し検証する前提であることから開発コストが高いものは不向きといえます。
また、MVP開発にはいくつか型があり、それぞれ向き不向きがあるため、ケースに応じた使い分けが必要です。以下に、代表的なMVP開発の型を解説します。
ランディングページ(LP)型
ランディングページに、問題解決の提案をし、これから提供予定のサービスの申し込みや事前登録などをしてもらう方法です。
サービスへの入り口を設けるのに適している方法であり、ニーズの多さの分析や、申し込みにより顧客のデータを集められるといったメリットもあります。
プロトタイプ型
デモ用に作成した実験機(プロトタイプ)を用いる方法です。動作するプロダクトを顧客に利用してもらうことで、実際のプロダクトにより近い反応が得られます。
様々な検証が可能となる点はメリットがある一方で、開発コストが大きくなりやすいデメリットもあります
オズの魔法使い
顧客から見えるフロント部分は完成品のようにしておき、裏側の処理を人間の手で回す方法が「オズの魔法使い」です。
Webサイト等の入り口の部分だけ綺麗に整えおく必要があるため、その分のコストがかかるデメリットはありますが、ユーザーのニーズの有無は検証しやすいといえるでしょう。
コンシェルジュ型
コンシェルジュ型は人力型とも呼ばれており、顧客に対しインタビューや観察等を行うことで、意見やニーズを収集・検証する方法です。
オズの魔法使いがフロント部分だけでも作成していたのに対し、コンシェルジュ型では全てマニュアルで行っているのが大きな特徴です。
MVP開発についてはこちらのページで詳しく解説しています。
リーンスタートアップは時代遅れ?
2008年に初めて提唱されたリーンスタートアップですが、2020年頃から時代遅れと呼ばれることも増えてきました。
その要因は、事業環境やビジネスモデルの変化にあるといえます。
リーンスタートアップのメリットの一つにその早さが挙げられますが、昨今のSNS等を活用した拡散力のスピードには敵いません。SNSのほぼリアルタイムな口コミを受け、その場で即対応・修正が可能となるため、ビジネスの分野によっては時代遅れ・不向きだと判断されるでしょう。
リーンスタートアップが向いている分野
時代遅れと呼ばれる一方で、リーンスタートアップがマッチする分野もあります。
セミオーダーメイド分野やWebサービス分野は、特にリーンスタートアップが適しているでしょう。
顧客の望むニーズを細かく収集し学習していくセミオーダーメイドや、アクセス解析を活用して顧客の反応に合わせたサービスに改善できるWebサービスは、リーンスタートアップのサイクルにぴったりです。
また、一部の専門性の高い分野でもリーンスタートアップが向いているといえます。金融や労務などでは、高い専門性だけでなく顧客対応の柔軟さが必要です。仮説に基づきサービスを提供して顧客からの反応を計測し学習していくことで、より顧客の求めるサービスに近づけるでしょう。
まとめ|MVP開発はリーンスタートアップに重要なプロセス
リーンスタートアップとは、最低限の機能の製品を開発し、顧客の反応をみて改善を行うマネジメント手法であり、分野によっては新規事業に向いているといえます。
最小限の試作品を作るMVP開発はリーンスタートアップの重要なプロセスであり、上手く活用して顧客のニーズにマッチした製品を作っていきたいものです。
また、誰もがSNSを使う昨今では、リーンスタートアップが時代遅れとされる場合もあります。これから始める事業の分野によって取り入れるマネジメント手法を選択し、新規事業を成功させましょう。
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