プロダクト開発成功の鍵:ペルソナとユーザーストーリー

著作者:pch.vector/出典:Freepik

プロダクトを開発する際、そのプロダクトやサービスが「誰のために、どのような価値を提供するのか」を明確にすることは非常に重要です。

そこで、「ペルソナ」と「ユーザーストーリー」という2つの手法が役立ちます。

ペルソナは、プロダクトのターゲットとなる具体的なユーザー像を作り出すもの。

一方、ユーザーストーリーは、そのペルソナがプロダクトを使用する際のシナリオやニーズを文章化するものです。

この2つの手法を用いることで、開発者はユーザーの立場に立ってプロダクトを考えることができ、より使いやすく魅力的なプロダクトを生み出すことができます。

この記事では、ペルソナとユーザーストーリーの重要性や詳しい作成方法について解説していき、最後にはクリーヴァでの実際の作成方法も紹介します。

ペルソナの作成方法

著作者:upklyak/出典:Freepik

目次

ペルソナの定義と目的の説明

ペルソナとは、プロダクトやサービスのターゲットとなるユーザーの架空のキャラクターを作成する手法のことです。

このキャラクターは、年齢、性別、趣味、職業などの具体的な情報を持っており、まるで実在する人物のように扱われます。

では、なぜこのようなキャラクターを作るのでしょうか?

その目的は、開発者やデザイナーが、ユーザーの立場に立ってプロダクトやサービスを考えられるようにするためです。

ペルソナを用いることで、実際のユーザーのニーズや問題点を明確にし、それらに合わせた解決策を考えることができます。

また、ペルソナをチームで共有することにより、チーム全体でユーザーの視点・ニーズを共有でき、開発の方向性を決定しやすくなります。

なお、ペルソナを作成する際には、具体的な情報がある程キャラクターの想像はしやすいですが、情報の取捨選択を適切に行わないとカオス状態になってしまう可能性があります。

必要な情報のみを取り入れ、開発に不要な余計な情報は適切に取捨選択することが重要です。

また、ペルソナはプロダクトの方向性を決めるためのものですので、先入観や思い込みに基づいて作成することは避けるべきです。

後述するユーザーリサーチの結果を基に、客観的な事実に基づいてペルソナを作成することが最も理想的と言えます。

ユーザーリサーチの重要性と方法

ペルソナを作成する際の最も基本的なステップは、実際のユーザーの声やニーズを知ることです。

この目的を達成するための方法として「ユーザーリサーチ」があります。

ユーザーリサーチとは、プロダクトやサービスを利用する実際のユーザーやターゲットとなる人々から情報を収集する活動のことを指します。

ユーザーリサーチの重要性は、実際のユーザーのニーズや課題を正確に把握することで、ペルソナをより現実に近い形で作成することができる点にあります。

単に想像や推測でペルソナを作成するのではなく、実際のデータに基づいてペルソナを作成することで、プロダクト開発の方向性をより正確に定めることができます。

ユーザーリサーチの方法としては、アンケート調査、インタビュー、観察調査などが挙げられます。

アンケート調査は多くの人から情報を収集するのに適しており、インタビューや観察調査はより深い理解を得るための方法として利用されます。

これらの方法を組み合わせることでユーザーの声をしっかりと捉え、そのニーズを深く理解することがペルソナ作成の重要な基盤となります。

ペルソナ作成の手順とベストプラクティス

上述したユーザーストーリーを含めて、ペルソナを作成する際には一定の手順を踏むことでより効果的な結果を得ることができます。

以下に記載する手順が基本的な手順となります。

  1. ユーザーリサーチの実施

アンケートやインタビューなどでプロダクトやサービスの実際のユーザーや潜在的なユーザーから情報を収集します。

  1. 収集したデータの分析と整理

収集した情報を分析し、ユーザーのニーズや課題を明確にします。

  1. ペルソナの基本設計

ユーザーの代表的な特徴やニーズに基づいて、ペルソナの基本設計をします。

  1. ペルソナの詳細情報の追加

ペルソナを具体的なキャラクターとしてイメージしやすくするために、ペルソナの名前、年齢、職業、趣味などの詳細情報を追加します。

これらの手順を実施することで実際のデータ(実在するユーザー)に基づいてペルソナを作成することができ、ペルソナがより現実的なものとなります。

ただし、ペルソナは複数作りすぎると管理が難しくなってしまうので、多くても2〜3人程度に収まるようにしましょう。

また、一度ペルソナを作成した後も、定期的な見直しは欠かせません。

ペルソナが市場の変化やユーザーニーズの変化に対応して、常に最新の情報を反映しているかを確認することが重要です。

ユーザーストーリーの作成方法

著作者:redgreystock/出典:Freepik

ユーザーストーリーの定義と目的の説明

ユーザーストーリーとは、プロダクトやサービスのユーザーが持つ特定のニーズや要望をシンプルかつ具体的な形で表現したものです。

一般的には「 As a [type of user], I want [an action] so that [a benefit/a value] 」(「私は〇〇として△△をしたい。なぜならば□□だから」)という形式で書かれます。

例えば、オンラインショッピングサイトの場合、ユーザーストーリーは「私は買い物客として、過去に購入した商品の履歴を見たい。なぜならば、同じ商品を再購入したいから」のようになります。

ユーザーストーリーの主な目的は、ユーザーの真のニーズや要望を明確にし、それを基にプロダクト開発の方向性を定めることです。

ユーザーストーリーを作成することで、開発チームはユーザーの視点を持ち、ユーザーをメインとしたプロダクトを開発することができます。

具体的なユーザーの声を元にした開発が、より質の高いプロダクトを生み出す鍵となります。

また、ユーザーストーリーは簡潔でわかりやすいため、開発チーム内でのコミュニケーションツールとしても非常に有効です。

ユーザーストーリーマッピングの重要性と方法

ユーザーストーリーマッピングは、ユーザーストーリーを視覚的に整理し、プロダクトやサービスの全体像を把握するための手法です。

このマッピングを行うことで、ユーザー体験(UX)を一連のステップとして明確にし、どのステップでどのようなニーズや課題が生じるのかが理解できたり、どのユーザーストーリーが優先されるべきか、またどのような順序で開発を進めるべきかが明確になります。

文章だけだと想像がつきにくいと思いますので、想像が難しい場合は後述するユーザーストーリーの例をご参照ください。

ユーザーストーリーの要素と書き方のガイドライン

ユーザーストーリーを書く際には、以下の3つの要素を明確にすることが重要です。

  • 役割(誰が):ユーザーの役割や立場を示します。
  • 活動(何を):ユーザーが行いたい活動やタスクを示します。
  • 動機(なぜ):その活動を行いたい理由や目的を示します。

注意事項としては、ユーザーストーリーは簡潔かつ具体的に書くことです。

一般的な書き方は上述した通り、「私は〇〇として△△をしたい。なぜならば□□だから」という形式です。

例:「私は買い物客として、過去の購入履歴を確認したい。なぜならば、同じ商品を再購入したいから」というようになります。

ペルソナとユーザーストーリーの関連性

著作者:pch.vector/出典:Freepik

ペルソナとユーザーストーリーの役割と関係の解説

プロダクトやサービスのターゲットユーザーを具体的なキャラクターとして表現したペルソナと、そのペルソナがプロダクトやサービスを使用する際のニーズや要望を簡潔に表現したユーザーストーリーの関係性は非常に深いです。

ペルソナを通じて、ユーザーの背景や動機を理解することができ、ユーザーストーリーを通じて、そのペルソナが実際にどのような行動を取りたいのか、どのようなニーズがあるのかを具体的に知ることができます。

つまり、ペルソナは「誰」が、ユーザーストーリーは「何を、なぜ」行いたいのかを示しています。

ペルソナを活用したユーザーストーリーの洗練と優先順位付けの方法

ペルソナを活用することで、ユーザーストーリーをより具体的かつ現実的に洗練することができます。

具体的なペルソナの背景やニーズを基に、ユーザーストーリーを作成・修正することで、プロダクト開発の方向性をよりユーザー中心にすることができます。

また、ペルソナごとにユーザーストーリーをリストアップし、それぞれのペルソナが持つニーズの重要度や緊急度を考慮して、ユーザーストーリーの優先順位を付けることができます。

これにより、最も重要な機能から開発を進めることができ、生産性の高い開発を行うことができます。

クリーヴァでの実践例

弊社クリーヴァでは、新規プロダクトの開発を行う際に、ペルソナとユーザーストーリーを作成し活用しています。

以下ではそれぞれの具体的な作成例やどのように作成しているかを記載します。

ペルソナの例

ペルソナ作成にあたり、クリーヴァではGoogleスライドで作成したテンプレートを使用しています。

上述した通り、名前・性別・年齢・居住地等の具体的な情報を持たせており、さらに家族構成や将来の目標、現在抱えている悩み事等のより詳細な情報も加えることで、実在する人物のように具体的にイメージしやすくしています。

また、ペルソナのイメージをさらに強化するために、実際の人物画像を添付することも行っています。

フリー画像で構いませんので実際の人物画像も使用することにより、よりリアルなペルソナのイメージを持つことができます。

ユーザーストーリーの例

ユーザーストーリーを作成するにあたり、弊社では開発メンバーがそれぞれの視点からプロダクトが提供すべき機能や価値を「 As a [type of user], I want [an action] so that [a benefit/a value] 」の形で付箋に書き起こしていきます。

これらの書き起こした付箋を一つのボード上に貼り付けていき、関連性や優先度に応じて付箋の位置を調整し、全体の流れや関連性を視覚的に捉えやすくします。(これが上述したユーザーストーリーの整理と可視化のために行う「ユーザーストーリーマッピング」です。)

実物の付箋を使用するので嵩張ってしまいますが、移動や並び替えの手軽さだったりユーザーストーリーの優先度や関連性を直感的に理解しやすくなったりします。

ユーザーストーリーを作成する際にはデジタルツールを使用する会社もありますが、弊社では実際の付箋を使用することをおすすめしています。

※添付画像のものは都合上この形式に沿っていません

ペルソナとユーザーストーリーの継続的な改善

Image by pch.vector on Freepik

プロダクト開発サイクルにおけるペルソナとユーザーストーリーの改善の重要性

プロダクト開発は一度きりのものではありません。

市場の変化、ユーザーのニーズの変動、技術の進化など、さまざまな要因により、プロダクトは常に進化し続ける必要があります。

このような変化の中で、ペルソナとユーザーストーリーも継続的に見直し・改善することが重要で、常に最新のユーザーのニーズを捉え、プロダクトの方向性を正確に保つことができます。

フィードバックループとアジャイル開発の組み合わせ

アジャイル開発は、短いサイクルでの開発とフィードバックの繰り返しを基本とする開発手法です。

このアプローチを取ることで、開発途中でもユーザーからのフィードバックを受け取り、それを基にペルソナやユーザーストーリーを改善・修正することができます。

具体的には、プロダクトの一部を開発・リリースし、実際のユーザーからの反応やフィードバックを収集します。

このフィードバックを基に、ペルソナやユーザーストーリーを見直し、次の開発サイクルでの改善点を明確にすることができます。

このような継続的な改善のサイクルを繰り返すことで、プロダクトはユーザーの真のニーズに徐々に近づいていくことができます。

まとめ

著作者:jcomp/出典:Freepik

プロダクト開発において、ユーザーの真のニーズを理解し、それに基づいてプロダクトを設計・開発することは極めて重要です。

ペルソナとユーザーストーリーは、このニーズを具体的かつ効果的に捉え、開発の方向性を明確にするための強力な手法となります。

特に、市場や技術の変化に柔軟に対応し、継続的にプロダクトを改善していくためには、これらの手法を適切に活用し、常にユーザーの声を取り入れることが不可欠です。

また、アジャイル開発の考え方と組み合わせることで、より迅速かつ効果的な開発サイクルを実現し、ユーザーにとって価値あるプロダクトを提供することができます。

プロダクト開発の際には、これらの手法を効果的に取り入れ、ユーザー中心のプロダクトを目指して開発することでプロダクトの成功率を上げることができるでしょう。

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