システム開発で使える補助金4選を紹介!申請の注意点もあわせて解説
システム開発にあたり悩ましい問題の一つに費用があります。開発費は、大規模システムであれば数百万円、1,000万円に及ぶケースも少なくありません。
そんな中、開発費を抑える選択肢の一つに補助金制度があります。
この記事では、システム開発に使える補助金と申請にあたって覚えておきたい注意点を解説します。ぜひ最後までご覧ください。
システム開発で使える補助金について
システム開発にかかる費用は高額になりがちです。開発費を抑えるために、使用目的を明確にしたり、余分な機能を削ったりすることも有効ではありますが、補助金を使うという選択肢もあります。開発費全額ではありませんが、概ね1/2〜2/3が補助されるケースが多く、受給できれば会社の負担が軽減できるはずです。
一方で、補助金の申請は必要書類も多く手間がかかるうえ、採択率も決して高くはありません。さらに1つのシステム開発・導入に際して活用できる補助金は1種類のみであることも注意しておきましょう。
これらの注意点を踏まえたうえで補助金の申請を検討するなら、知っておきたいのが多くの補助金で採用している電子申請です。電子申請ではgBizID(GビズID)というアカウントが必須となるため、補助金申請を考えているのであれば早めに取得しておきましょう。
これから紹介するのは、システム開発でよく活用される補助金4つです。それぞれ特徴が異なり、向いているケースは大まかに以下の通りです。
- ものづくり補助金→革新性の高い大規模な案件に
- IT導入補助金→指定されたITツールの導入に
- 小規模事業者持続化補助金→少額の場合に
- 事業再構築補助金→コロナ禍の影響で売上が減少した場合に
この他にも自治体により独自の補助金制度を設けている場合もあります。会社のある各自治体のHPや問い合わせで確認してみると良いでしょう。
開発費用の相場はこちらから。

システム開発の補助金①ものづくり補助金
画像引用:ものづくり補助金公式HP
ものづくり補助金は、中小企業庁による補助金制度です。生産性向上に寄与する革新性の高い製品・サービスの開発のための中小企業の設備投資等を支援しています。
対象 | 革新性の高いサービス・製品の開発 |
条件 | 中小企業(資本金と従業員数は業種により異なる) |
申請方法 | 電子申請システムから申請 |
申請時期 | 例年、年4回(2023年2月時点) |
給付額 | 通常枠:100万〜1,250万円(補助率1/2〜2/3)特別枠:100万〜4,000万円(補助率2/3以内) |
採択率 | 約45% |
注意点 | 採択後5年間は報告書の提出が必須システムの転売は禁止 |
最大の特徴は「革新性」が問われる補助金であること。そのため、システム自体に革新的な機能がある、ビジネスモデルに革新性がある、競合優位性があるなどを満たしていないと採択は困難です。
申請類型はいくつかあり、開発するシステムの内容により「グリーン枠」「デジタル枠」等の特別枠が適用となります。
採択率の傾向としては、建設業・製造業と比べると、情報通信業や小売業が低くなっています。ものづくり補助金は「新商品の開発」を対象としているため、情報通信業や小売業では事業計画書での革新性の出し方が難しいのかもしれません。採択率を上げる1つの手段として、最低限提出が必要な書類以外の追加書類があります。成長性や政策等に関するものであれば加点がもらえるため、積極的に作成したいものです。
また、給付額の上限が高い点は魅力的ですが、申請にあたり注意点もいくつかあります。
採択後5年間は報告書の提出が必須であること、付加価値額・賃上げに関して3〜5年の事業計画を策定すること、認定支援機関が発行する確認書が必要であるなど、必要書類や手続きは煩雑と言えるでしょう。
ものづくり補助金は、革新性が高く大規模なシステム開発に向いています。
システム開発の補助金②IT導入補助金
画像引用:IT導入補助金公式HP
IT導入補助金は、一般社団法人サービスデザイン推進協議会が運営する補助金制度です。
ITツールを導入で問題解決を図る中小企業や個人事業主が対象となっています。
対象 | ITツールの導入 |
条件 | 中小企業(資本金と従業員数は業種により異なる)・個人事業主 |
申請方法 | サイトからオンライン申請 |
申請期間 | 2022年度は終了(2023年2月時点) |
給付額 | 通常枠:30万〜450万円(補助率1/2以内)セキュリティ対策推進枠:5万〜100万円(補助率1/2以内)デジタル化基盤導入枠:5万〜350万円(補助率2/3〜3/4以内) |
採択率 | 約50% |
注意点 | 依頼先は「IT導入支援事業者」に限られる給付決定後に発生した費用のみ対象 |
自社の課題を解消するITツールを導入する際の経費を補助してくれる制度で、主に業務効率化を目的とするものを対象としています。具体例としては、勤怠管理・販売管理・予約サイトの管理・3次元CADの活用などがあり、様々な業種や組織形態に対応しています。
注意したいのは、「IT導入支援事業者」にしか依頼できない点です。公式HPに対象となる事業者一覧があるため、その中から選ばなければなりません。また、給付決定後に発生した費用のみが補助金の対象となるため、採択結果を確認してから、外注の契約をしましょう。
業務効率化を目的としたシステム開発を外注するなら、IT導入補助金を検討してみましょう。
システム開発の補助金③小規模事業者持続化補助金
画像引用:小規模事業者持続化補助金公式HP
小規模事業者持続化補助金は、全国商工会連合会や日本商工会議所が実施している補助金事業です。
小規模事業者の販路開拓等の取り組みの経費を補助することで、事業者の生産性向上や持続的発展を図ることを目的としています。
対象 | 販路開拓・生産性向上・持続的発展を目的とした経費 |
条件 | 常時雇用の従業員数が20人以下の小規模事業者(卸・小売業・サービス業は5人以下) |
申請方法 | 商工会議所へ提出 |
申請期間 | 2022年度は6月・9月・12月・2月に受付 2023年度は公式HPを要確認(2023年2月時点) |
給付額 | 通常枠:50万円(補助率2/3)特別枠:200万円(補助率2/3)インボイス枠:100万円(補助率2/3) |
採択率 | 約50% |
注意点 | 商工会議所の発行する事業支援計画書が必要 |
新たな販路開拓を目的とした取り組みの補助を行なっており、11種類の経費が対象となっています。システム開発であれば、「開発費」「外注費」やホームページの制作の「ウェブサイト関連費」が対象となる経費です。
申請類型は通常枠の他にも、「賃金引き上げ枠」「卒業枠」「インボイス枠」など5つの特別枠があります。
注意点は、商工会の会員でなくても応募可能ですが、商工会議所が記入・発行する事業支援計画書が申請の際に必要となることです。必ず商工会議所に相談しましょう。
額は大きくありませんが、条件に当てはまる小規模事業者であれば、検討してみてはいかがでしょうか。
システム開発の補助金④事業再構築補助金
画像引用:事業再構築補助金公式HP
事業再構築補助金は中小企業庁により採択された補助金で、コロナ禍により売上が減少した中小企業が対象となります。新事業や事業再編などを試みる場合に適応となり、対象となる経費も比較的幅広いのが特徴です。
対象 | 中小企業 |
条件 | 新型コロナウイルスの影響により売上が10%以上減少付加価値額の年率3.0%以上増加を達成認定支援期間とともに事業計画を策定上記の3つを満たすこと |
申請方法 | 電子申請システムから申請 |
申請期間 | 第9回は2023年3月24日締切(2023年2月時点) |
給付額 | 通常枠:100万〜8,000万(中小企業の補助率1/2〜2/3) |
採択率 | 約40% |
注意点 | 認定経営革新等支援機関へ経て申告する必要あり |
新しい取り組みを支援する制度であり、システム開発であれば、管理システムのIT化やVR画像提供システムなどの採択事例などがあります。これまでの提供サービスのオンライン化などで事業転換を行う場合は対象になりやすいと言えるでしょう。
給付額は、6つの類型と従業員数により大きく異なります。通常枠を例にとると、従業員数20人以下であれば上限2,000万円ですが、従業員101人以上であれば上限8,000万円となります。
上記のように給付額が大きいのはメリットである一方、何らかの不備により受給できなかった場合は資金の調達が困難となる恐れもあるため、申請の際には注意が必要です。
また、認定経営革新等支援機関への相談を経て、今期の売り上げや業績を申告しなければならない点にも注意が必要です。
コロナ禍の影響を受け、事業を再編するのであればぜひ検討したい補助金です。
システム開発で補助金を申請する際の注意点
システム開発で活用できる補助金は上記のようにいくつかありますが、申請する際にはぜひ把握しておきたい注意点もあります。
- 事業計画書の作成が必要となる
- 交付後に報告義務がある
- 補助金は後から給付される
以下で詳しく解説するため、検討の材料にしてみてください。
事業計画書の作成が必要となる
各補助金によって内容は異なるものの、概ね3〜5年分の事業計画書の作成が必要となります。
内容は様々であり、革新性が求められたり、社会的有用性が必要であったりするため、市場分析や競合分析なども含め、各応募要項にマッチしたものを作らなければなりません。
審査する側からしても、補助金の目的に沿っているか、採択の適切さを計画書で見極めるいるのです。
ちなみに、事業計画書以外でも、必要書類は非常に多いため、注意が必要です。不足書類があれば当然採択はされません。そのため、ダブルチェックをするなどの入念な確認は欠かせません。
交付後に報告義務がある
申請が無事採択され給付されても終わりではありません。各補助金にもよりますが、交付後の概ね5年程度、事業の状況などの報告義務が課せられます。
具体的には、Web上の専用システムを介して、事業実績・損益計算書を提出するケースが多いようです。また、報告することはもちろん、目標に定めた要件を満たしていなければ補助金を返還しなければなりません。補助金によっては、給付額が非常に高額なものもあります。返還となれば資金調達が困難となるため、報告に関しても注意する必要があります。
補助金は後から給付される
補助金はあくまで補助金であり、「後から給付される雑収入」であることを覚えておきましょう。
つまり、先に経費を支払わなければならないため、予算を準備する必要があります。一括で払える予算があるか、もしくは借り入れ等で資金調達が行えるかを検討しなければなりません。
また、補助金によっては「補助事業期間」が設定されており、期間内でシステム開発の発注・納品・支払を完了させる必要もあります。申請期間の前の費用など、期間外に発生した費用は経費にならないため注意しましょう。
補助金を活用するのであれば、余裕のある予算の確保と、給付対象期間の確認、スケジューリングが重要となります。
まとめ|システム開発の補助金を利用するなら準備は入念に
システム開発にかかる費用は高額になりがちですが、補助金を受給できれば企業の負担も軽減されます。しかし、補助金の採択率の低さや給付が後払いであることなどを考慮すると、補助金ありきではなく、余裕を持った予算でシステム開発に臨みたいものです。
申請前や給付後の注意点を踏まえたうえで、導入予定のシステムにマッチした補助金を受給できるよう、検討してみてはいかがでしょうか。
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