UXデザインとは?重要性やUIとの違い、7原則やプロセスなどもわかりやすく解説

UXデザイン

UXデザインと耳にすることが増えましたが、どんなものなのでしょうか?

UXデザインは、ユーザーにとって価値ある体験を提供するための設計を指します。ユーザーの満足度はもちろん、売り上げや利益にも影響を与えるものです。

そこでこの記事では、UXデザインの概要や重要性、設計するうえでの7原則やプロセスを解説します。自社のUXを改善させたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次

UXデザインとは

UX(User eXperience)とはユーザーが特定の製品やサービスを利用したときに得られるすべての体験を指します。UXデザインとはその全ての体験を設計することです。

ECサイトを例に挙げると、欲しかった商品を探しやすい・サイトのデザインが魅力的・セキュリティ対策も十分・アフターサービスも良いなどの体験はUXといえます。こういった体験(UX)をより向上できるように、設計することをUXデザインというのです。

UXデザインの重要性

UXは特定の製品やサービスがユーザーに提供できる価値であり、非常に重要なものです。UXの改善により以下の効果が期待できます。

  • ユーザー満足度とロイヤルティの向上:ユーザーが製品やサービスを使いやすいと感じ、価値を感じることによって、満足度とロイヤルティが向上する
  • 売上や利益の向上:ユーザー満足度とロイヤルティの向上は、リピーターや口コミの増加につながり、売上や利益の向上に貢献する
  • 顧客離脱率の低下:優れたUXデザインは、ユーザーの不満やストレスが少ないため、顧客離脱率が低下する

ほかにも、製品の改善やマーケティング戦略の立案にも活用できるでしょう。

UXデザインとUIデザインの違い

UXデザインとUIデザインは、密接に関連していますが、異なる役割を担っています。そもそもUIとはUser Interfaceの略で、ユーザーと製品・サービスをつなぐ接点のことです。

ECサイトを例に挙げるなら、UIがサイトの文字やデザインなどを指し、UXが商品やUIを含めた体験を指します。

UXデザインが、ユーザーのニーズや目標を理解し、「全体的な体験」を設計するのに対し、UIデザインは、UXデザインに基づいてユーザーインターフェースを設計し、視覚的な要素を担当します。

つまりUXデザインはUIを含めて体験全体を指すため、UIがUXを左右するとも言えるでしょう。

UXとCXの違い

UXとCXも非常に似た概念です。CXはCustomer eXperienceの略で、顧客体験を指します。自社製品に関する全ての体験(利用したときだけでなく、購入するまでの過程・購入後のアフターフォローまで)という点ではUXとほぼ同じです。しかし、CXでは「顧客の感情や心理も含めた体験」という点でUXと異なります。UXはCXの一部なのです。

ただし、近年、UXとCXの境が曖昧になっているケースもあり、混同されている場合もあります。

UXデザインの成功事例

UXデザインはどのようにすれば、上手くいくのでしょうか。以下で、成功事例を紹介します。

サービス成功の要因UXの例
Starbucks顧客一人ひとりに特別な体験を提供し、顧客満足度を向上させている・居心地の良い店内空間
・豊富なカスタマイズオプション
Spotifyユーザーの音楽の好みを分析しておすすめの楽曲を提案することで、最適な音楽体験を提供している・パーソナライズされたプレイリスト
・豊富な楽曲数
・使いやすいインターフェース
Netflixユーザーの視聴履歴を分析し、おすすめの映画やドラマを提案することで、最適な視聴体験を提供している・パーソナライズされたおすすめ機能
・豊富なコンテンツ
・いつでもどこでも視聴できる
slackユーザーを第一に考えた改善を続け、使いやすさと機能性の高いコミュニケーションツールを提供している・シンプルなインターフェース
・効率的なメッセージ管理機能

身近なサービスもUXデザインという観点から見ると興味深いものです。いずれのサービスもユーザーのニーズを深く理解し、使いやすく価値のある体験を提供しているのだと分かります。

UXデザインの7原則

UXデザインには「UXハニカム」という7原則があります。デザイナーのピーター・モービル氏が提唱したもので、優れたUXデザインはこの原則に則っているものです。ここからは、ECサイトを例にしてそれぞれ解説します。

Useful(役に立つ)

1つ目は、「ユーザーにとって必要不可欠な情報を提供していること」です。ユーザーが製品やサービスを利用する目的を明確にし、本当に必要な機能や情報を提供することが求められます。

ECサイトであれば、商品の詳細情報・ユーザーレビューの記載はもちろんのこと、よくある質問のページを用意するなどが該当します。

Usable(使いやすさ)

2つ目は「ユーザーが迷わず簡単に操作できること」です。ユーザーが製品やサービスを初めて利用しても、迷わずに操作できるようなインターフェースを設計する必要があります。

複雑な操作や分かりにくいメニューなどは、ユーザーのストレスを増加させ、離脱につながりかねません。

ECサイトであれば、読みやすいフォント・大きいボタン・分かりやすいリンク・主要ページへのリンクの配置などが該当します。購入プロセスをシンプルにし、わずか数ステップで購入できるようにするのもUsableです。

Findable(探しやすい)

3つ目は「ユーザーが目的の情報を見つけやすいこと」です。ユーザーが求めている情報や機能を迅速かつ簡単に見つけられるよう設計する必要があります。

ECサイトであれば、検索のしやすさ(商品ページに商品名・カテゴリー・価格などで検索できるようにするなど)・絞り込みのしやすさ(関連キーワードやフィルターを使って結果を絞る)などが該当します。

Credible(信頼できる)

4つ目は「ユーザーが安心して利用できること」です。ユーザーが製品やサービスを安心して利用できるように、正確で信頼できる情報を提供することが求められます。

ECサイトであれば、情報源の明記・定期的な情報更新・問い合わせ窓口の設置をはじめ、セキュリティ対策・評価システムの導入などが該当します。

Accessible(アクセスしやすい)

5つ目は「すべてのユーザーが容易にアクセスできること」です。すべてのユーザーが平等に製品やサービスにアクセスできるように設計する必要があります。視覚や聴覚に障害があっても使いやすいデザインが望ましいでしょう。

ECサイトであれば、音声読み上げ・文字サイズや背景色変更などの機能搭載が該当します。

Desirable(好ましい)

6つ目は「ユーザーにとって魅力的・関心を惹くデザインにすること」です。ユーザーが製品やサービスを魅力的と感じ、積極的に利用したいと思うようなデザイン設計の必要があります。美的・感情的に訴求できると良いでしょう。

ECサイトであれば、ブランドイメージが伝わる画像やデザイン・好感のもてるデザイン・美しい画像・魅力的な色使いなどが該当します。

Valuable(価値がある)

最後は「ユーザーにとって価値あるもの」です。上記の6要素が満たされると、価値あるUXがつくられます。

ECサイトであれば、時短・コスト削減・生活の改善といったものが該当するでしょう。

UXデザインのプロセス

UXデザインを設計するなら、以下の5段階のプロセスに沿って進めると良いでしょう

以下で順を追ってそれぞれ解説します。

1.Empathise(共感する)

まずは、ユーザーのニーズや目標を深く理解しましょう。

この段階では、ユーザー調査やインタビューを通じて、ユーザーのニーズ・目標・課題・行動などを深いレベルで把握します。ユーザーに共感し、彼らの視点に立って考えることが重要です。

 

2.Define(定義づけ)

次は、共感の段階で得られた洞察をもとに、ユーザーの問題を明確に定義します。1で得た情報を整理し、ペルソナ設定を行い、問題点の洗い出しをしましょう。

問題点を明確にすれば、解決すべき課題を具体的に設定できます。するとプロジェクトの目標も明確になり、残りのプロセスにおける指針にもなります。

3.Ideate(考える)

問題が定義されたら、次は解決に向けてさまざまなアイデアを生み出す段階です。

ブレインストーミング・KJ法・シックスハット法をはじめ、あらゆるアイデア出しの手法を用いて、創造的な解決策を探求しましょう。

4.Prototype(プロトタイプを作る)

3のアイデアの中から実行可能なものを選び、プロトタイプを作成します。プロトタイプはデザインを具体化し、初期段階でのフィードバックを得るための手段です。できるだけシンプルに、素早く反復して試せるようなものを作りましょう

5.Test(テストする)

最後に、プロトタイプをユーザーにテストしてもらい、データ分析を通じてデザインを改善します。テストは繰り返し行いフィードバックを集め、製品がユーザーのニーズに適合するまでデザインを洗練させていきましょう。

UXデザインを改善するには

優れたUXデザインを実現するためには、継続的な改善が不可欠です。ここからは、UXデザインを改善するための具体的な方法をご紹介します。

製品をユーザー目線で使用する

ユーザーになり切って、実際に製品やサービスを体験してみると、どのような課題を感じるのか、どのあたりに改善の余地があるのか分かる可能性があります。

ユーザーの目線にたって同じように操作して使ってみることが重要です。使いやすさだけでなく、思わぬ問題点が見つかるかもしれません。

カスタマージャーニーを活用する

カスタマージャーニーマップを作成し、ユーザーがどのような経験をしているかを把握すれば、改善点を特定しやすくなります

カスタマージャーニーとは、ユーザーが製品やサービスを利用する過程を視覚化したものです。作り方は、まずペルソナを設定してタッチポイントを洗い出しましょう。カスタマージャーニーマップの横軸と縦軸の設定したら、各フェーズの行動とタッチポイントを書き込み、最後に感情・思考を書き込みます。

ユーザーの行動や感情を整理すると見える「ユーザーにとって理想のあり方」をデザインの改善に活かしましょう。

UXデザインの原則とプロセスを見直す

UXデザインの7原則と5つのプロセスを定期的に見直し、改善点がないかをチェックしましょう。

7原則のうち満たせていない項目があれば改善し、プロセスのPDCAを回して改善を試みます。ユーザーのニーズは変化するものです。デザインもそれに合わせて進化させていく必要があります。

まとめ|UXデザインを改善して成果を上げよう

UXデザインはユーザーの体験をより良いものにし、製品やサービスの成功に不可欠な要素です。ユーザー中心のアプローチを取り、課題解消やニーズに応えることが必要となります。

UXデザインの7原則を満たし、プロセスを経てデザインを洗練させていくことで、ユーザーの満足度を高め、ビジネスの成果につなげられるのです。UXデザインを継続的に改善し、ユーザーにとって価値ある体験を提供しましょう。

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